アートメイク色素の成分と安全性【医師が徹底解説】

アートメイク色素の成分を医師が徹底解説

アートメイクは水や汗に強く、取れにくいのが特徴です

その理由は、色素は皮膚のごく浅い層に定着しているから!

皮膚に針で穴を開けて色素を入れるため、アートメイクは医療行為にあたります。

医師免許あるいは看護師免許などの資格を持った人間が施術を行うとはいえ

「色素を肌に入れて安全なのかな?」と不安に思う方も多いですよね。

そこで今回はアートメイクに用いられる色素について詳しく解説します。

監修者は、大手アートメイク指導講師のaki先生

aki先生のついて
大手アートメイク指導講師。大手クリニックにて指導・企画・開発等を経験。アートメイク色素・関連商品企画やクリニックコンサル、美容メディアの記事監修・アートメイク色素の成分解析等、幅広く活躍。

目次

アートメイク色素の色材は?

アートメイクに用いられる色素は、化粧を施すのではなく、肌に半永久的なデザインを施すためのインクという特性を持ちます。

この技術は、アイブロウ、アイライン、リップなど、さまざまな部位のアートメイクに適用されます。

アートメイクに用いられる色の原料は、一般に色材と呼ばれています

色材には、大きく分けて、染料と顔料の2種類です。

2つとも名前は耳にしたことがあると思いますが、その違いは何でしょうか?

その違いは、水や油などの媒体に溶けるものが染料溶けないものが顔料です。

身近なものに例えると

  • かき氷のシロップは染料
  • ティラミスのココアパウダーは、顔料

顔料は、塗料、絵の具、プリンターのインクなどいろいろな用途に使われていますが、

顔料」というぐらいですから、そもそも顔につけるもの、化粧に使われるものとして古くから認識されており、

アートメイクインクには、顔料の方が圧倒的に多く使われています

アートメイクインクの種類と特徴

アートメイクインクは、主に以下の3つに分類されます

1. 無機顔料

無機顔料は、化学的に安定しており、長期間色調を維持する特徴があります。

主な成分には以下のようなものがあります

  • 酸化鉄
    • 赤褐色から黒色まで幅広い色を表現
  • 二酸化チタン
    • 白色顔料として使用、他の色との混合で明度を調整

無機顔料は安定性が高く、金属アレルギー以外のアレルギー反応のリスクが比較的低いため、多くのアートメイク施術で使用されています。デメリットとしては、マッドな仕上がりになってしまう傾向があることです。

2. 有機顔料

有機顔料は、発色が良く、鮮やかな色調を作り出すのに適していますが、無機顔料に比べて安定性がやや劣る傾向があります。

  • アゾ系色素
    • 多様な色彩を表現可能
  • フタロシアニン系色素
    • 青や緑の色調に使用

有機顔料は発色が良い一方で、インクよっては、長期的な色調の変化や退色に注意が必要です。

また、アレルギー反応のリスクが無機顔料よりも高い場合があります。

3. ハイブリッド

無機顔料と有機顔料を組み合わせたハイブリッドタイプのアートメイクインクも存在します。

これらは、両方の利点を活かし、安定性と発色の良さを両立させることを目的としています。

ハイブリッドタイプのアートメイクインク

アートメイクインクのブランドのMediBrowのMARQUの商品画像

ブランド名:MARQU

  • 【高い発色力と持続力】
    • リキッドタイプで、微粒子インクは高い発色力と持続力を実現します。
  • 【安全性試験をクリア】
    • 医師が開発し、安全性試験をクリアした無菌性インク。顔料はガンマ線滅菌され、ビーガン・クルーエルティフリーです。 
  • 【日本人の眉色に合ったカラーバリエーション】
    • 厳選された3つのカラーバリエーションで、日本人の肌色や髪の色に自然に馴染みます。 

アートメイクインクの成分と役割

アートメイクインクには、顔料以外にも様々な成分が含まれています

1. 結合剤

  • アビエチン酸(コロホニー)
  • エチルアクリレート
  • ポリエチレングリコール

これらの成分は、アートメイクインクを皮膚に定着させ、色持ちを良くする役割を果たします。

2. 溶媒

  • エタノール
  • イソプロピルアルコール
  • プロピレングリコール

溶媒は顔料を溶解したり、分散させたりする役割があります。

aki(医師)

インクに含まれるイソプロピルアルコールは、適切な量のものがいいです。肌への刺激があるので、最小限のものが推奨されています!

3. 防腐剤

  • ベンジソチアゾリノン
  • フェノキシエタノール

防腐剤は細菌やカビの繁殖を防ぎ、アートメイクインクの品質を保つために使用されます。

aki(医師)

アートメイクインクに防腐剤が入ってますが、菌の侵入を防ぐために清潔操作で扱いましょう!

皮膚トラブルのリスクがある成分

以下の成分は、アートメイク後の皮膚トラブルを引き起こす可能性があるため、注意が必要です

  • 黒11(カーボンブラック)
  • 青15(クロマゾールブルー)
  • 緑 7(メチルグリーン)
  • オレンジ 34
  • レッド101, 122, 181, 210
  • イエロー42, 65
  • ソルベントイエロー33

どの成分が無機顔料?有機顔料?

無機顔料: 黒11, レッド101, イエロー42

有機顔料: 青15, 緑7, オレンジ34, レッド122, レッド181, レッド210, イエロー65, ソルベントイエロー33

これらの顔料の中で、無機顔料は一般的に化学的安定性が高く、有機顔料は鮮やかな発色が特徴です。

ただし、有機顔料の方がアレルギー反応のリスクが高い傾向にあるため、アートメイク施術を行う際は患者の肌質や既往歴を考慮し、適切な顔料を選択することが重要です。

無機顔料と有機顔料の両方の良さが入っているハイブリッドインクがおすすめです!

安全性の確保と患者ケア

アートメイクの色素に関する安全性は、施術を行う医師や看護師にとって非常に重要です!

アレルギーの発生率を低下させるための予防策として、事前のパッチテストが推奨されることがあります。このテストは、使用予定の色素に対するアレルギー反応を早期に確認するためのものであり、事前にこれを行うことで潜在的なトラブルを回避できると思われていますが、最新の研究ではあまり効果がないという報告もあります。

アートメイクアレルギーが疑われる79人の患者を対象としたデンマークの研究では、アートメイクインクのパッチテストが行われました。これらの患者のうち、パッチ反応が陽性だったのはわずか11% で、アートメイクインクのテストは役に立たない可能性があることを示唆しています。

安全性を保つためには、使用する色素が安全なものどうかを確認することも重要です!

アートメイクインク製造会社が行っている品質管理プロセスとその結果の透明性が、信頼の一部となります。さらに、アートメイク施術後に患者がどのようにアフターケアを行うべきかを明確に説明し、アートメイクインクによる長期的な肌への影響を確認するようにしましょう。こうした安全への考慮が、アートメイクのクオリティと信頼性を高める要因となります。

1. 事前のパッチテスト

アートメイク施術前に、使用予定のインクでパッチテストを行うことが推奨されます。これにより、潜在的なアレルギー反応を事前に発見し、安全な施術を行うことができます。

2. 成分の透明性

使用するアートメイクインクの成分を把握し、患者に十分な情報を提供することが重要です。成分表示が明確で、安全性が確認されている製品を選択しましょう。

3. 施術後のケア指導

施術後の適切なケア方法を患者に指導することで、合併症のリスクを軽減できます。特に施術直後の数日間は、清潔を保ち、過度な摩擦や紫外線暴露を避けるよう指導しましょう。

4. 長期的なフォローアップ

アートメイク施術後も定期的なフォローアップを行い、色素の状態や皮膚反応を観察することが重要です。必要に応じて、追加施術や修正を行うことで、長期的な満足度を高めることができます。

結論

アートメイクインクの種類と成分を理解することは、安全で効果的な施術を行う上で非常に重要です。無機顔料と有機顔料それぞれの特性を把握し、患者の肌質や希望に合わせて適切なインクを選択することが求められます。

また、アレルギー反応のリスクがある成分に注意を払い、事前のパッチテストや十分な説明を行うことで、患者の安全を確保しましょう。

アートメイク技術は日々進化しており、新しい製品や技術が登場しています。医療従事者は常に最新の情報を収集し、安全性と効果を両立させた施術を提供することが求められます。

患者一人ひとりに寄り添い、安全で満足度の高いアートメイク施術を提供することで、医療従事者としての専門性と信頼を高めることができるでしょう。

アートメイク色素の成分を医師が徹底解説

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